シーンと静まり返ったオフィス。
キーボードを打つ音だけがカタカタと聞こえる。
僕は紙の原稿を手に持ち眺めていた。
突然「ブィッ!」と音が鳴った。
音源は僕である。
おしりからではない。
どういうワケか口の中からたまにこの音が鳴ってしまうのだ。
口の状態は閉じている。
いつも決まって左奥の舌のあたりから鳴っているようだ。
恐らく、舌と口の中の壁が干渉しあってこのサウンドを奏でているのだろう。
音が出てしまうのは仕方ない。
昔からの癖みたいなものだから、いまさらどうこうできないし。
ただ、こいつの困ったところは予期せず出てしまうことだ。
例えば静まり返ったオフィス内で隣にも人がいるようなこの瞬間。
絶対、オナラに聞こえてるよね?
そして、この音はオフィスに響いているのだろうか?
音が鳴っているのは僕の口の中だから、当然僕自身はものすごく大きな音が鳴っているように聞こえる。
耳が近いし、口の中から音が振動として伝わってくるので余計だ。
でも、もしかしたら回りの人はほとんど聞こえていないのかもしれない。
「オナラじゃないのよ!」と女の人はよく言うけど、僕も言いたいです。
それでは、また。